SAOで登場するナーヴギア。
VR技術の最終形態でもありますが、その仕組みについて知っていますか?
意外と詳細な仕組みについては知らない方が多いのではないでしょうか。
今回は、そんなナーヴギアの仕組みを解説します。
また、ナーヴギアの仕組みは現実で可能なのかについても考察したいと思います。
ナーヴギアの仕組みの前にナーヴギアとは?
ナーヴギアは、ソードアート・オンラインという作品で登場する、VRゲームのヘルメット型ハードです。
以下のサイトにナーヴギアのイラストがあります。
川原 礫&ソードアート・オンライン 公式サイト-だいたい5分くらいで分かる ソードアート・オンライン-
ナーヴギアはVR機器ではありますが、現在発売されているVRゴーグルの究極形態です。
というのも、VRゴーグルでは視覚と聴覚のみを使って没入感を演出しますが、ナーヴギアでは、触覚や味覚を含めた五感すべてを使って没入感を実現します。
このため、原作ではナーヴギアによる仮想現実への接続を「完全(フル)ダイブ」と読んでいます。
ナーヴギアの仕組みを解説
ナーヴギアには、以下の機能があります。
- 電磁波による五感へのアクセス
- 脳から体への命令を遮断
- キャリブレーション
- 脳破壊シークエンス
五感へのアクセス
ナーヴギアの内側には無数の信号素子が埋め込まれています。
これらの信号素子は微弱な電磁波を発生させ、脳細胞そのものに疑似的な感覚信号を与えます。
つまり、ユーザーは自身の目や耳でなく、視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚の五感を司る脳細胞に電磁波で疑似的な感覚を与えることきるのです。
脳から体への命令を遮断
ナーヴギアは、延髄部で脳から体への命令を遮断・回収します。
ヒトは体を動かすとき、大脳から脊髄へ命令を出し、そこから体中の筋肉をコントロールしています。
延髄部は大脳から脊髄への通り道の間にあり、ナーヴギアはここで脳からの命令を遮断するのです。
例えば、ゲーム内で走ったとき、その動きが現実の体でも起こってしまうと危ないですよね。
壁にぶつかれば痛いですし、ゲームをやるための広い空間が必要になります。
そのため、脳からの体を動かす命令を現実世界のユーザーが受け取るのではなく、仮想世界のプレイヤーがその命令で動くようにしているのです。
キャリブレーション
キャリブレーションは、現実世界のユーザーのリアルな体格を仮想世界で実現するための機能です。
原作では、初回装着時に自分の体をあちこち触ることで、手をどれだけ動かしたら自分の体に触れるかなどの基準値を測るための作業だと説明されています。
ちなみに、顔については、顔全体を覆っているナーヴギアの信号素子が読み取り、精細に再現してくれます。
脳破壊シークエンス
これは、ゲーム内での死が現実世界での死を意味する、という演出を実現するための機能で、ナーヴギアが脳を破壊します。
外部の人間によるナーヴギアの停止や解除が行われた場合にも行われます。
このことについては、ゲーム開発者の茅場明彦は以下のように述べています。
ナーヴギアの信号素子が発する高出力マイクロウェーブが、諸君の脳を破壊し、生命活動を停止させる
ソードアート・オンライン1 アインクラッド P46より引用
これは、電子レンジと原理的には同じで、脳細胞中の水分を高速振動させ、その摩擦熱で脳細胞を破壊するのです。
また、ナーブギアの3割はバッテリセルで、電源コードを抜いた場合でも、脳の破壊が可能です。
ちなみに、以下の場合に脳破壊シークエンスが起こると説明されています。
- 十分間の外部電源切断
- 二時間のネットワーク回線切断
- ナーヴギア本体のロック解除または分解または破壊の試み
ナーヴギアの仕組みは実現できる?その可能性は?
ここからは、私の勝手な考察になります。
先ほどのナーブギアの仕組みで解説した「五感へのアクセス」と「脳から体への命令を遮断」は少なくとも実現しないと、ナーブギアは作れないのではないかと思います。
電磁波による五感へのアクセスは実現できる?
五感を司る脳細胞に電磁波で疑似的な感覚を与える必要があるため、脳のどの部分がどの感覚を担当しているのかを正確に把握しなければなりません。
大まかな感覚の場所というのは、研究により明らかになっていますが、ピンポイントで正確な場所というのはまだわかっていないのではないかと思います。
また、脳の外部から電磁波で、脳の感覚を刺激するのが可能なのかという問題もあります。
しかし、以下の記事を見ると、少しずつ実現してきているのではないかと思われます。
NPO法人 オール・アバウト・サイエンス・ジャパン -9月5日:電磁波で脳を操作する(8月29日号Science掲載論文)-
脳から体への命令を延髄部で遮断できる?
ナーヴギアは、延髄部で脳からの命令を遮断しますが、延髄は呼吸や心臓、平衡感覚の調節にも関わります。
呼吸や心臓の動きを止めてしまうとユーザーが死んでしまうので、これらの命令については通過させる必要があります。
つまり、ナーヴギアによる脳からの命令の制御では、遮断させるべき命令と通過させる命令を判別しなくてはなりません。
個人的には、ここの制御が難しいのではないかと考えています。
結論
これらの点を踏まえると、数十年スパンでの実現は無理ではないかと思います。
不可能ではないにしても100年近くはかかるのではないかと考えています。
この結論は私の勝手な考察のため、専門家の意見を聞きたいという方は、以下の記事を見てください。
「ソードアート・オンライン」は「すでに実現しつつある」――落合陽一さん・伊藤監督ら 「SAOが未来の世界観を決めている」
ナーブギア・オーグマーは基本的に実現不可能ではない。『ソードアート・オンライン』劇場版監督とVR研究者がSAOの可能性を語る
また、メンタリストDaiGoさんとひろゆきさんが、ナーヴギアの実現可能性ついて話していたので、こちらもぜひ見てみてください。やはり頭がいいお二人の考察は、非常に面白かったです。
動画の出典元はこちらです。私が最近始めた切り抜きチャンネルですので、興味がある方は、ぜひ他の動画も見てみてください。